アラフォー課長のトラブルな日々

歳上しかいない課へ配属。そして課長となった日々のあれこれ

自称、繊細な人

今日のカルテ:山田さん(40代前半/男性)

山田さんはこの5月から異動。
3月までメンタルを病んでいて復職され、慣らし勤務を経ています。

昨今特段珍しい事ではない話です。
知人でもそういう方いますし。

ただしこの方の他と違うところは、休職→復職→休職の無限ループを10年続けているという事。
通常、休職期間や回数は就業規則などで制限があり、制限を超えてしまえば退職、となるのが普通です。
が彼はならないんだよね、とっくに制限超えてるのに。

想像だけど、理由は二つあって、一つは正社員だという事。
正社員の解雇はなかなか大変です。某社労士さんの退職に追い込むメソッドは大炎上しましたけど、ああいうメソッドが生み出されるくらい大変な事なんだろうな、というあたりです。

もう一つは訴訟リスク対策
ウチの会社、結構でかいのです。いわゆる大企業。
社名を言えばほぼイメージできちゃう会社なのですが功罪それぞれあって、この例だと結果のいかんを問わず、解雇された人が脳内で組み立てたストーリーを元に酷い目にあった的な訴訟をでっち上げで起こしても、新聞、ニュース、ネットに踊るタイトルは「元社員不当解雇で告訴」となり、広報は「訴状を見ていないのでコメントできない」となり、社のイメージ悪化は避けられません。

という事で、本人の貢献やスキルは一切介在しない理由で規定と現実の狭間を泳いでいる山田さんがうちに来ました。

GW前、最初の面談での彼の言葉達と心のツッコミが今になって響きます。
『鈴木さん(50代後半/男性)と山本さん(50代後半/女性)とは過去にトラブルがあり接する事ができません。あの人達とは関わらない業務にしてください』
…えーと、どちらもウチの課の方なんですけど。。。
『特に朝気分の下降が酷いときがあるので、そういう時には会社に来れません』
…休職って、そういう症状を整えるための仕組みなんだけど
『一度に複数の仕事はできません、そうなると気分の下降が〜』
…下降しまくりだねあなた
『色々考え事をしてしまうと気分が落ち込む事があるので、業務に集中できる環境が欲しいです』
…そういう会社作ればいいじゃん、速攻潰れると思うけど。

というわけで、設定した30分の内の20分はご本人がいかに繊細か、如何に配慮が必要かを熱弁されてました。
こいういう人生の先輩を見ると悲しくなります。
でも管理職として言わねばならないことは言わないといけません。

「状況はわかりました。ここは会社、企業です。企業は利益を上げ続けないといけません。利益をあげるために何が必要か、そのためにご事情を抱えた山田さんにどんな配慮をすべきかについては、これからもいつでもご相談に乗ります。でも特別扱いはできません。業務上の指示は指示としてきちんと遂行してください。」

やったよ俺、噛まずに言えたよ。
そりゃあそうだよ、うちの課の人、こういう人ばっかりだもんw

完全な私見ですが、ある程度休職回数を重ねてくると配慮の名の下変な特権意識を持つ人が多い気がします。
脳内で勝手に理屈こねくり回している分、別名、思う分には自由なのですが、自分の思う配慮は絶対に実施すべき、となぜか変な使命感に燃えている人が多いです。
彼も完全にこのタイプ。

なので企業の定義を説明した上で、貴方本意ではなく、会社としての自分の立ち位置とそこで担う役割ということをどうしても思い出して欲しいんですよね。
…まあ効果ないだろうけど。
でもこういうタイプの相手を黙らせるにはこれが一番聞くのです。

このタイプ、言い方悪いが業務上で配慮すべきことがわかるほど過去もこれからも仕事のことわかろうとしてないから。
俺が、私が、と自分のこと、自分の中の心の機微、睡眠時間は饒舌に語れるが、周りのことは語れない。
相手の悪いところ、と思われることはいくらでも思いつく、ただし自分のことは棚に上げて。

伝えたいポイントは十分伝えたので、後は対応すべき業務の説明をし、詳細は部下の神田さん(40代後半/男性)に任せて終了。

私は管理職になってからというものの、自称繊細な人ほど周りを傷つける人だと思ってます。
山田さんは間違いなく繊細な人。あれだけ饒舌に自分のことを語れるんだもんそれは間違いない。
でもそれは自称です。
自称と多少の一番の違いは他者も繊細であることに気がつけるかの差だと思ってます。